愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「なかなか可愛いところあるじゃねーか」
「やっぱり撤回します。今のは忘れてくださいっ!」
なんでだよ。そう思った俺はふっと笑い、素知らぬ顔して車のエンジンをかけた。
「とりあえず腹減った。ラーメン食いに行くぞ」
「えっ……」
その瞬間顔色が変わり、目を見開いた梨央に何を今更という表情を向ける。
「食べに行きたいんだろ?ラーメン。自分が言ったことをもう忘れたのか?」
「あ、と、……えっ?」
「今日は何でも言うことを聞いてやるよ。お前のやりたいことに付き合ってやる。だから要望があれば何でもいえよ」
「ほ、本当に?」
「今日は特別だからな」
そんな言葉を聞き、急に目元を潤ませた梨央が「コウさ…」と突然俺の肘を服の上から掴んできた。
俺はそんな仕草を見つめ、やれやれと梨央の額を指でピンと弾く。
「アホか。今から泣く奴があるか」
どうせ泣くならもっと楽しんでから泣けよ。と忠告すると梨央は急にぱっと表情を切り替え、吹っ切ったようにへへっと笑った。
「コウさん大好き!一生ついていきます!」
「げんきんなやつだな……」