愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
梨央の言葉に俺もなるほどな…、と軽い頷きを返す。
「確かにそうかもしれないな」
全く別々の人生を歩んできた二人がどんなタイミングで、いつ巡り会うのかは誰も知らない。
出会い、意識して恋に落ちる。
それも誰も予想できないことだ。
「そう思ったらなんか不思議てすね。この巡り合わせに感謝したいです」
改めて俺に視線を移した梨央が少し真面目な顔をして頬を赤く染めた。
「コウさんに会えて良かったです。この出会いは私にとってなによりの宝物です」
いつの間にか花火の存在を忘れていた。
まるで俺しか見えない、聞こえないというような熱い眼差しを送られて、俺は時が止まったような感覚になる。
確かにあの時俺は魅了された。
彼女の美声に心奪われたのは確かだ。
ふとした瞬間不覚にも仕事だと忘れそうになった時もあった。
人の出会いに何かしら意味があるのなら、きっと梨央との出会いは俺にとってなくてはならない、出会うべきしておきた出来事なのかもしれない。