愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「…大丈夫、涼しいとこに行けばじきに落ち着きますよ」
「でも…」
「それより….すまないが、どこか水が飲めて休めるところがあれば…」
ちょうど目と鼻の先に弦さんのお店があった。
だから私はおじ様の手を取り、援護しながら連れていき、今に至るわけだけど、
「本当に大丈夫ですか?」
やっぱり病院に行ったほうが…
心配で今しがたお水を飲んだおじ様を覗き込む。
「そうですよ。万が一のことがあってはこちらとしても心配です」
弦さんも最初こそ驚いたものの、すぐに状況を察したみたいで、すぐに奥の部屋に案内してくれた。
そこは和室で畳になっていて、ゆっくり横にもなれる広さ。
ちょうどまだ営業時間前だったためか、お店には私達以外誰もいなかった。
「本当にお気遣いなく。今日はたまたま飲み物を鞄に入れてくるのを忘れてしまったようでね」
「…そう、ですか…」
「私としたことが年取ると最近忘れっぽくてね。でもほら、今水を頂いたらさっきより大分呼吸するのも楽になってきましたよ」
「それなら良いんですが…」