愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

「…と、そんなことがあったんです」

コウさんに会うやいなや私はさっきの出来事をすぐにコウさんに話した。
あれから30分ぐらいして約束通り私を迎えに来てくれた彼と一緒にカウンターに座りお酒をたしなむ。

コウさんは弦さんが出してくれたつまみを食べながら「へー」と呟く。

「それはご苦労さん」

「最近ずっと暑いですもんねー。私も体調管理には気を付けなきゃ」

「確かにな」

「コウさんもですよ」

「おー」

気のない返事にコウさんを見る。絶対思ってないな、と思った。この雰囲気からすると。
コウさんって人のことになると心配性のくせして自分のことになると適当なんだもん。

「ちゃんと分かってます?もうおじさんなんだから、しっかりしてくださいよー」

「んじゃ、体調管理は梨央にまかせた。未来の奥さん」

「おっ…」

ゴホンゴホンとむせてしまった。
不意打ちにしれっとそんなことを言うコウさんを恨めしく思う。動揺するの分かってて言うんだから、毎度毎度たちが悪い。
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