愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「じゃあ、これから毎日のレシピはコウさんのだーい好きな椎茸三昧にします」
「げっ、何でだよ…」
箸を止めたコウさんが今度、恨めしく私を見る。
「体調管理する人の特権でーす」
「……」
「いい大人なんだから苦手な物もちゃんと食べなきゃ駄目ですよ」
「ぶはっ」
そこでカウンター越しでお酒を作っていた弦さんが吹き出した。
「ガキの会話かよ」なんて笑いながら私に向かってニヤリと口を上げる。
「やっぱ嬢ちゃんは面白い。真白に向かってそんな扱いする奴は署の中には1人もいないからな」
「え?…前から思ってたんですけど、そんなにコウさんって仕事中怖いんですか?」
「さあな」
仏頂面で私から視線を反らしたコウさんがタバコを口にあてがった。
これは肯定として受け止めていいよね。
だって想像できるもん。無愛想に部下の人達に指示してるのが目に浮かぶ。
「まぁ、優しくはないだろうな。真白は俺の部下として働いてた時もくそ生意気だったぞ」
弦さんもまた同意するように頷く。
「たく…、俺は真剣に仕事してんだよ。ニコニコ笑いながらやってどうすんだよ…」
「うーわ、私だったら絶対コウさんの下で働きたくないです。パワハラで訴えます」
「あ?」
「鬼署長…」
「…お前な…」