愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
そのままコウさんの胸に顔を埋めると、それを合図だと言わんばかりに彼の艶かしい声が耳元に落ちる。
「梨央、これだけで足りる?満足か?」
試す言葉に足の爪先から全身が熱くなる。もう分かってる癖に。これだけじゃ全然足りないこと。一度こんな風に抱き締めあったら嫌でもそれ以上のことを望んでしまう。
ただでさえ、仕事が忙しかったコウさんとはここ2週間ほどすれ違い生活だったんだもん。
「足りない、です。全然、もっと沢山触れて欲しい」
それを伝えた瞬間息を飲むほどの深いキスが…
言葉にならないほどのキスを交わしたあと彼がとても満足そうに言った。
「帰るぞ」
その一言にやっぱりドキドキしながら頷いた。この笑顔にはどうしても弱い。私だけに向けてくれるこの表情は国宝級。きっとこの先も私は彼の手の平でこんな風に転がされていくのだと思う。