愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「つーかさ、こんな商売してると、たまに無性に癒しを求めたくならねぇ?」
「さぁな」
「まぁね、俺には唯っていう可愛いい奥さんに癒されてるからいいけど、晃一はどう?梨央ちゃんとは順調?彼女元気にしてる?」
「ぼちぼちなんじゃねーの?」
「またまたぁ、謙遜しちゃって、本当はすんごい順調。おもいっきり癒されちゃったりしてたりするんだろ」
敦士がニヤリとコーヒを口に含む。俺は適当にあしらいつつ、ポケットから取り出した煙草を口に入れた。
「相変わらずクールだねぇ」
「うっせーよ」
「そんなんじゃ、いつか彼女に愛想尽かされちまうぜ。つーより、ちゃんと可愛がってあげてる?」
「知るかよ」
お前に話す必要はない。
何でいちいち報告しなきゃいけないんだよ。
俺は期待する視線を無視し、吸い込んだばかりの煙を開け放った窓の外に解き放つ。
「でもよー。梨央ちゃん寂しがってない?こんな仕事三昧の毎日だとさ、ろくに会うことできないだろ。そのへんは彼女ちゃんと納得してくれてんの?」
それを聞き、俺は一瞬煙草を吸うのを躊躇った。
別に動揺した訳じゃない。
ただ何となく、
以前会った時の梨央が脳裏に浮かび上がったから。