愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「待てよ」
「えっ」
引き止められた私は何事かと思ったけれど、何故かニヤリと笑う2人組を見て嫌な予感が働いた。
「おねーさんどこ行くの?」
「ちょっと急いでて…」
「こんな雨なのに?」
「だから雨宿りを…」
いかにも若そうな雰囲気だった。大学生、もしくは高校生?まだ10代だろうなってのが良く分かる。が、こんなとこで絡まれてる場合じゃない。
さっさとこの場を立ち去ろうと捕まれた腕を振りほどこうとしたのに、びくともしない。
「奇遇だね。俺達も雨宿りしようとしてたとこなんだ」
「……」
「よかったら一緒に雨宿りしない?おねーさん美人だし、俺達がとっておきの温かい場所に連れてってあげるけど」
「いやいやいや、結構です」
なぜそうなる?
と思ったが、魂胆はみえみえだ。いくら鈍感な私だって分かる。この2人が本当に雨宿り目的だなんて思ってないことぐらい。
「悪いけど人と待ち合わせてるから…」
「えー、いいじゃん。行こうよ。俺達に付き合ってよ」
首元にジャラジャラとネックレス。おまけに口にピアス。耳にもピアスだらけの人の言うことなんて聞けるわけない。
どう見たってチャラい。
恐すぎる。
そう思いダメもとでもう一度捕まれた腕を振りほどこうとした瞬間、とても渋い声に助けられた。