愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
彼の仕事は想像以上に忙しかった。
聞いた話だとコウさんはまた新に大きな事件を追ってるらしい。
詳しくは私も知らないが、けっこうそれは大変な案件らしく、そうなるとやっぱり私生活は二の次。
プライベートで私に会えるのはほんの僅かな時間しか限られていなかった。
「はぅ…コウさんに会いたいよ…」
私は持っていたグラスをコトっと置くと、そのままカウンターに突っぱねた。
あまりに暇すぎて、気付けば今日も此処へ。
すでに3杯目のお酒を飲みながら、私は1人情けない声をこぼす。
「刑事さんってそんなに忙しいんですか?」
目の前には弦(げん)さんが少し困った顔して私を見てる。
彼は弦さんといって、この店のオーナー。そしてコウさんの元上司。
以前彼に連れてきてもらった以来私はすっかりこの店のファンになってしまった。
お酒がとっても美味しいこだわりのバー。
居心地も最高。そんな美味しいお酒に誘われて、何度か通ううち、弦さんともかなり打ち解けてしまった私は今じゃすっかり仲良しだ。