愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
こえーよ…
何なんだよ。と、突っ込みたかったけれど当の本人はそんな俺なんか放置して、スヤスヤと気持ちよさそうに寝息をたてている。
彼女の真意が分からないまま俺は彼女を抱き上げると、とりあえずベッドへと連れていき、布団をかけた。
穏やかに眠る彼女に向かって視線を定め、ポツリと一言。
「俺を脅すなんていい度胸じゃねーか」
これは彼女の願望なのか、それとも…
真意はいかに。
12月24日。もうそんな季節なんだとハッとさせられる。
クリスマスなんていう単語を久しぶりに自覚した気がするのは俺が今までずっと仕事三昧の生活をしていたから。
…ただ、今年は彼女の寝言に従うのも悪くないと思う。
それが梨央の願望なら尚更に叶えてやりたいと思うのは惚れた男の弱み。
そのことについては改めて明日梨央に聞くとして、俺はやっぱり目の前の小悪魔を邪険にはできない。
むしろもっと愛着が沸いてくる。
俺は彼女の前髪を上げ真っ直ぐ見つめると、目の前の額にキスを落とした。
この時、梨央の携帯が何度も鳴っていることなんて気付くはずもなく、俺も横になると彼女の体を抱き寄せる。