愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
ちょうどその時彼女の実家にたどり着き、俺は車を止めた。
「ごめん、すっかり忘れてた!まさかコウさんと過ごせるとは思ってなかったから。どうしよう良かったらコウさんも一緒に来ます?」
梨央が携帯から視線を外し俺を見る。
とりあえず今一話が掴めなかった俺は、もう一度梨央に最初から事情を説明してもらうように告げたのだけど、
それを聞いていくうち、俺は何とも複雑な気持ちに悩まされた。
「なるほど…、料理好きの梨央のお袋さんが皆を呼んでパーティーしたいのはよく分かった。けどよ、何でそこに幼馴染みの慎一くんも一緒に来るんだよ」
「…え?だって仲良しですもん。聞いた話だと慎ちゃんどうやら結婚生活がうまくいかなくて最近出戻ってきちゃったらしいんですよ。落ち込んでるみたいだからうちの母が元気付けてあげようって」
そこまで聞いて俺は何となく眉を寄せた。
幼馴染みの慎ちゃんって、確か梨央の初恋の相手じゃなかったか?
「くだらねぇ、第一26になる男がそんな気遣いされてもいい迷惑だろ。つーかそっとしていてやれよ。梨央のお袋さんの気持ちも分かるが、ここは普通通りの態度が一番だろ」
俺だったらごめんだね。
そっとされるのが一番じゃねーの?