愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

「うーん…、私も初めはそう思ったんですけどねぇ。コウさんの言ってることも分かるし。けど、どうも慎ちゃん本人が思ったよりも乗り気みたいで、クリスマス楽しみにしてるって、あ、ほら、今入ってきたLINEにもそんなことが……」


何だろうこのぬめりとした感情は。

何となく梨央の顔が嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか?

俺の考えすぎだよな。


「梨央も楽しみにしてるのか?」

「……えっ?……どうだろう……。とりあえずまだ本決まりじゃないし、私は何とも。またちゃんと決まったらコウさんにもお知らせするね。コウさんとも一緒に過ごしたいし」


そう言って貰えるのは嬉しいが、やっぱりどこか腑に落ちなかった。

自分でも分からないがこの時、気付きたくない何か嫌な予感が働いたのは気のせいであってもらいたい。



「じゃあな、また連絡する」

「お仕事頑張ってくださいね」


とりあえず話しは一旦終了し、
俺から背を向けようとする梨央の腕を咄嗟に掴み、引き寄せた。


「梨央」

「……えっ」

「あんまりよそ見すんなよ」


らしくない感情をぶつけるようにキスをした。

驚く梨央の後頭部を引き寄せ強く抱き締める。


きっとこの日、離れがたい。

そう思ったのは俺のほう…

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