愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
しかも弦さんってとっても聞き上手。
自分の仕事をしながら私の話に耳を傾けてくれるし、ちゃんとアドバイスもくれる。
それがしっかりとポイントを押さえていて、私にとってはすごくありがたい存在だ。まるで第2の父のような。
さすがコウさんが信頼してる元上司だけはあるなって。
コウさんじゃないけど、私にももしこんな上司がいたらきっと仕事も楽しく向上できるんだろうなって思ってしまうほど。
まだ弦さんと会って2ヶ月ほどしか経ってないけど、人見知りな私がこんなにもすぐ打ち解けるなんて正直驚いている。
自分でも意外だよ。
「そんなに会いたいならたまには我が儘言ってみてもいいんじゃねぇか?多少の我が儘なら可愛いもんだろ」
「言えませんよ。だって仕事ですもん」
コウさんを困らせたくない。
何よりそれが大きい。
私と違って仕事に情熱をかけているのが分かるからこそ尚更躊躇っていうか、遠慮する。
「コウさんの邪魔だけにはなりたくないもん」
「…健気だねぇ……」
「これでも必死に我慢してるんですよ」
きっと今も苦しんでる人を助けてるのかもしれない。
そう思うと邪魔なんてできない。
もしかしたら昔の私みたいな人を救ってるかもしれないって思ったら我が儘なんて禁句だよ。