愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

その感触にゾッと吐き気さえ感じる。

これが梨央だったら同じ事をされても間違いなく、俺は彼女を熱く受け入れてることだろう。


だけど彼女は違う。

その違いに俺はげんなりし、尚更彩香を冷たく見下ろした。


「お前、いい加減にしろよ」


そう言って彼女を引き離し、視線を後ろに向ける。

周りは何事かと俺達に視線を集めるが、俺は素知らぬ顔して今度こそ席を立つ。

だけどその時、


バサリ…、

何かが落ちる音がしてハッとする。当然だがそちらの方に向くと、真っ正面に見知った顔が飛び込んできて、思わずその場で固まった。




「…梨央……」


驚きすぎて目を開く。

何故かそこには予想外の梨央がいて、俺と彩香のことを信じられないものを見るように傍観し、つっ立っている。

その瞬間周りは急に静まり返り、変な緊張感が店中に張り詰める。
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