愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

だけれどそれはもう過去の話だ。

それからの3年という月日は私達を大きく変えた。

私と慎ちゃんの未来は決して交じり合うことなく、それぞれの道に進み、私は今再び前を向いて歩いている。

もう過去は振り返らないと決めた。

せっかく救い出して貰えた新たな人生。自分なりに精一杯悔いなく生きようと思うんだ。

コウさんに出会えたことが今の私の唯一の奇跡。そして宝物。

こうしてまた慎ちゃんに会えたことはめちゃくちゃ嬉しいけれど、彼に対して抱いてた特別な感情は今の私にはもうない。

素敵な過去の思い出になっている。

幼馴染の頼れるお兄ちゃんとして、これからも家族ぐるみで付き合っていけたらいいなって、心から願ったりしてる私なんだ。




※※※


「ちょっと休憩しようか」


それから順調に買い物を終えた私達は少し遅めのランチをすることに。

肉汁たっぷりのハンバーグが食べたいと言う私のリクエストで行列ができる有名なお店に連れていってくれた慎ちゃん。

窓際日に案内されて、それぞれ食べたいメニューをオーダーするとやっとこの日、一息つくことができた。

店員さんが持ってきてくれたお水を一口飲むとすぐ、どこからともなくパトカーのサイレンが聞こえてきた。

それを聞いた瞬間条件反射のように動きを止め、私は視線を窓の外へ向ける。

ちょうどそこには黒色のワンボックスカーを追うパトカーが見え、思わず釘付けになる。
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