愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

「事件かな」

「どうだろうね」


最近の私は少し変だ。

町中でパトカーを見るとすぐに目で追って確認してしまう。

もしかしたらコウさんじゃないかって、コウさんだったらいいなって。

あのパトカーに乗ってるのがコウさんであってほしいなんて変な期待をしてしまう。

こんな状況にも関わらず彼を一目見れたらラッキーだなんて、そんな密かな思いを巡らせてしまう私の心は相当ヤバイのかもしれない。

けれど、私の願いは虚しく今までそんな状況に出会したことは一度もないんだけど…。



「なぁ、そう言えば梨央が今付き合ってる彼氏って刑事なんだろ?」

「えっ?」

「留理子さんから聞いた。しかも長身のイケメンだって」


お母さんってばいつの間にそんなことを…

ハッとし、外の世界から慎ちゃんの方へ向くと、なぜか興味津々のお顔。彼の表情が私をドキリとくすぐった。



「あー…うん、そうなの。口は悪いけど立派な刑事さんです」


思わず照れた素振りになってしまったのは言うまでもない。

だってまさか、慎ちゃんにコウさんのことを聞かれるなんて、報告する日がくるなんて思ってもみなかった。
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