愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
それが変な感じで妙にくすぐったい。
「意外でしょ?自分でもビックリだから」
「何処で知り合ったの?」
「う〜ん、話せば長くなるんだけどね。あの時の事件でお世話になった人なの。色々と助けてもらったのがきっかけと言うか…」
それからざっくりとコウさんとの馴れ初めを語り出すと、慎ちゃんはやっぱり興味深そうに私の話を聞いてくれた。
その眼差しが何となく恥ずかしい。
きっと今の私、顔がにやけてるかもしれないし。
「そんな凄い出会いだったんだ」
慎ちゃんは私の話を聞くと最後は感心したように頷いた。
「まるでヒーローだな。ちゃっかり梨央の心まで捕まえちゃうなんて、よっぽど凄い人なんだろうね」
ヒーローと言うより大魔王に近いけど…
あの自信満々で嫌味な笑みを思い浮かべると、ついつい顔がひきつるっていうより、笑ってしまう。
「でもさ、梨央が無事に帰ってきてくれて本当に良かった。こうしてまたこんな風に会えることかできて正直俺は嬉しい。めちゃくちゃありがたいと思ってる」
慎ちゃんの真面目な顔に思わずドキッとした。
そんな風に思っててくれてたんだ。
じーんと胸を打たれるっていうか、瞳の奥が熱くなる。