愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「ちょっ、なんですか!?人の家で血迷ったことしないでくださいよ!」
「…あ?知るかよ、挑発するお前が悪いだろ」
「いつ私がそんなことを……、さっきからコウさんおかしいですよ」
……すると、ピタリと動きが止まった。
その瞬間ハラハラ、ドキドキ。
だってもし菜々や母が部屋に来たらと思うとさすがの私も気が気じゃない。どう対応していいのか分からない。
「少し冷静に、落ち着きましょう」
チラリ、コウさんの顔色を伺うと、彼は相変わらず不機嫌な顔をしていた。
やっぱりおかしい。
そう思うも、こんな風に機嫌を損ねさせちゃったのは私のせいなの?とやっぱり不安にもなるわけで、微妙な違和感が込み上げる。
「…コウさ……」
「そうだな。俺はおかしいよ。お前のことになると理性が効かない。悪いかよ」
再び顔を近付けられて、言葉を見失う。
「俺はお前が思ってるほど大人じゃない。いい年した男が一人の女に振り回されるとか、案外器の大きい人間じゃないかもしれねーな」
「……えっ?」