愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「ほう、それはいい心掛けじゃねーか。なんなら婦人警官とは言わずこれから色々試してみるか?もちろん、俺の好みに合わせてくれるんだろうな?」
顔を近づけられて返答に困る。
まさかこういう返しをされるとは思わなかった。本気?それとも冗談?
目の前の顔色からはそれが読めず、どうしようとあからさまに動揺して見せると、彼の反応がやっぱり砕けたもの変わる。
「アホか。冗談に決まってるだろう。俺はそんなマニアックなものを強要する趣味はねーよ」
頭をこつかれた。
上には上がいる。
やっぱり彼に勝とうなんて至難の技なんだと思い知らされる。
でも…、悔しい。
「じゃあクリスマス、サンタの格好するのはやめます。一応ホームパーティーで 菜々と着る予定だったんですけど、コウさんにはもう見せてあげません」
わざとらしくそっぽを向いた。
本当は着るつもりだけど、悔し紛れの嘘をついた。
売り言葉に買い言葉。可愛いげがない態度にコウさんは真顔で私を観察したけれど、そこはやっぱり大人。
そのことには何も言わず、私に対してただすました表情を向けるだけだった。