愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

そしてまた続けざまに…くしゅん。

それを2、3回繰り返すとさすがのコウさんも少し険しい顔に変わる。


「おい、冗談だろ。お前が湯冷めしたら意味ないだろう。風邪引いたらどうする?」


そう言って今私が着けたばかりのマフラーを取り外し、私の首へと巻いてくれる。

少しぶっきらぼうな言い回しだけど、マフラーを扱う指先はとても優しい。


「すみません。お手数おかけしまして…」

「まったくだ」


これじゃあ、何のために此処に来たのか分からない。

もう一度顔をあげようとすると……くしゅん。

あれ?これは真面目にヤバイ感じ?

鼻水まで出てきそうで、「あちゃ…」と考え込んでいると、コウさんのただならぬ視線が……。何を思ったのか、私に巻き終えたマフラーを持ったまま、グイッとそのまま自分の方へと引き寄せた。



「………とっ」


その勢いで私のおでこはコウさんの胸板にダイブ。背中に腕を回された時、コウさんの力が優しい加減で全身にかかる。


「本当、世話がかかる」

「お、お世話かけます……」


背中を擦られてほのかに照れる。

こうさんのしっかりとした体温が私を包み込んでくれるから、素直に嬉しいって思う。
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