ずっとキミが好きでした。
割れんばかりの拍手、眩いばかりのスポットライトに全身が轟いていた。


歌い終わった私は、真っ先に左隣に視線を移した。


左手でギターを高く振り上げ、「やったぞ!」と右手で拳を突き上げていた。





私は再びマイクを握り、思いを声にした。





「皆さんと今日はありがとうございました!私たちは、遠回りこそしたものの、きちんとまた舞台に戻って来れました。これも皆さんの応援のおかげです。最高のステージを一緒に作ってくれて、本当に、本当に…ーーありがとうございました!」





長い長いトンネルを抜けた先には、確かに輝く光が差していた。


これはまだ人生の序章に過ぎないけれど、それでも嬉しかった。


ずっとこの中で拍手を聞いていたい、酔いしれていたいなんて贅沢なことを思った。













アシタノツバサ。



キミと私で、一羽の鳥になろう。








私は目をぎゅっと閉じ、込み上げる熱いものをこらえた。
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