ずっとキミが好きでした。
2 夏祭り
じめじめとした梅雨が明け、日差しがだんだんと強くなってきていた。







おれは、少しずつではあるが、確実に女子力を上げていた。


祖母に教わっている和食は、肉じゃがや味噌汁、魚の煮付けなど基本的なものは一人で作れるようにまで成長した。


最初は包丁で指を切って血をダラダラと流して倒れかけることもあったが、最近は一切なくなった。


そして最近の愛読書は雑誌、セブンティーン。


ファッション、占い、ダイエットの記事を隅から隅まで隈無く読み込み、日々の生活に取り入れていた。


なっつんに対抗して朝ヨガを行い、テレビを見ながらストレッチや筋トレをするように習慣付けた。


休み時間も手作り弁当を頬張りながら今月の占いの欄に目を通す。


今月の魚座は全体的に芳しくない。

 
金運と仕事運が三角、恋愛運と健康運がバツだった。


特に恋愛運は酷い言われようだ。








今月のあなたは恋愛を諦めて下さい。


あなたは自分の気持ちに気付きます  


が、その人はあなたを見てくれません。


あなたを見てくれる人は必ず現れます。


今はあなたの出来る最大限のことをし、近


い将来、運命の相手を掴み取りましょう。










今月は諦めろと言っているクセに努力はし続けるしかないなんて、辛すぎる。


未来のために絶望の中、か細い光りを灯しながら歩いて行くしかないらしい。


溜め息さえも出なかった。





今出来る最大限のことは、期末テストで良い点を取ることだ。


ひとまず占いは置いといて、勉強に集中しようと思った。


仕事運も三角であまりよろしくない。

 
この占いをした占い師を良い意味で裏切るためにも絶対に良い点を取ってやろう。






おれ…じゃなくて、“私"は苦手な数学のベクトルに立ち向かった。
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