ずっとキミが好きでした。
夏祭りといって思い出すのは、小学5年生だった時のことだ。
母のおさがりだという浴衣を祖母に着せてもらい、おれは神社に向かった。
履き慣れない下駄をカラカラ鳴らし、永遠に続く田んぼ道を歩き、境内までの長い坂道に到達する頃には、すっかり疲れきっていた。
階段の一番下に腰掛け、浴衣姿のカップルやたくさんの家族連れ、近所のおじさん、おばさんが階段を軽快に上っていくのを一人眺めていた。
どのくらい時間が経ったのか、おれはいつの間にか眠っていた。
目をこすり、顔を上げると、目の前に誰かが立っていた。
驚いて後ろに倒れ込むと、笑い声が聞こえて来た。
「やっぱり翼だったか!アハハハ!なんだよ、その格好!ぜんっぜん、似合わねえ!」
あっすーだった。
当時からデリカシーがなかったけど、一方でちょっと優しかった。
「オレがおぶってやるから一緒に射的やろうぜ!みくも上で待ってるから」
あっすーはおれに背中を向けた。
おれが「重いからいい」と遠慮すると、トレーニングの一貫だと訳の分からない理由を付けておれを強引におぶった。
「ああ~重い!!翼、太っただろ?」
「はあ!?女子にどんな口聞いてんだよ!」
「あれあれ~、翼って女子だっけ~?」
「おれをバカにするな!」
あっすーはおれをいじりながらも、最後まで一度も休むことなく登りきった。
おれがあっすーに「ありがとな」と感謝を伝えると、照れ臭そうに笑ってごまかしていた。
あっすーを意識し始めたのは、紛れもなくこの時だった。
あっすーの照れ笑いにキュンとして、初めての感情に頭が混乱したのを今でも覚えている。
母のおさがりだという浴衣を祖母に着せてもらい、おれは神社に向かった。
履き慣れない下駄をカラカラ鳴らし、永遠に続く田んぼ道を歩き、境内までの長い坂道に到達する頃には、すっかり疲れきっていた。
階段の一番下に腰掛け、浴衣姿のカップルやたくさんの家族連れ、近所のおじさん、おばさんが階段を軽快に上っていくのを一人眺めていた。
どのくらい時間が経ったのか、おれはいつの間にか眠っていた。
目をこすり、顔を上げると、目の前に誰かが立っていた。
驚いて後ろに倒れ込むと、笑い声が聞こえて来た。
「やっぱり翼だったか!アハハハ!なんだよ、その格好!ぜんっぜん、似合わねえ!」
あっすーだった。
当時からデリカシーがなかったけど、一方でちょっと優しかった。
「オレがおぶってやるから一緒に射的やろうぜ!みくも上で待ってるから」
あっすーはおれに背中を向けた。
おれが「重いからいい」と遠慮すると、トレーニングの一貫だと訳の分からない理由を付けておれを強引におぶった。
「ああ~重い!!翼、太っただろ?」
「はあ!?女子にどんな口聞いてんだよ!」
「あれあれ~、翼って女子だっけ~?」
「おれをバカにするな!」
あっすーはおれをいじりながらも、最後まで一度も休むことなく登りきった。
おれがあっすーに「ありがとな」と感謝を伝えると、照れ臭そうに笑ってごまかしていた。
あっすーを意識し始めたのは、紛れもなくこの時だった。
あっすーの照れ笑いにキュンとして、初めての感情に頭が混乱したのを今でも覚えている。