ずっとキミが好きでした。
「なんか、懐かしいね」





私がぽろっと感想を言うと、明日音くんが歌い出した。






「たとえば君が傷ついて 

 くじけそうになった時は…」





ビリーブ、だった。


明日音くんの歌声は久しぶりに聞いても、私の心臓に強く強く響いた。


透明感があって力強い。


歌詞に明日音くんの声が乗ると、命が吹き込まれたかのように音楽が動き出す。


歌詞と歌声がシンクロしてひとつの音楽となり、私の中にゆっくりと浸透して、私の一部になる。


私はその瞬間が好きだ。




ーーキミの一部に自分もなれたような気がして。







「I believe in future. 信じてる」









最後は私も歌った。


どうしようもない音痴の私にじゃまされた明日音くんがキリッと睨んで来たが、私は笑ってごまかした。
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