眠れる君に私の夢を。
第一章
出会い
いつもの朝、いつもの道、いつもの人…
何も変わらない日だと思ってた…
「おはよう。」
私、佐伯里歩は教室に入り、見知った顔に挨拶をする。
「おはよう。」「おう。」
沢山の声が入り交じる教室から、返事が来る。
「里歩ー!昨日のドラマみた?」
席に荷物を置いてから、グループの会話に参加する。
「みたみた!山内くんカッコよかったよねー。」
「ねー、やっぱ山内くんが1番だよね!」
私のいるグループはクラスの中心。
とは言っても、漫画や小説みたいに派手な人が集まっているわけじゃない。
ただ、人をまとめるのが上手い人が集まっただけ。
生徒会役員やバスケ部のホープ、学級委員とか…
そしてまた他愛のない話をしてからそれぞれの席へ戻る。
私は自分の席に座ると、今日もまた隣が空席なのを確認し、軽く溜息をついた。
(もう入学してから2ヶ月経つのに、1度も来てないな…)
私の隣の席の人は、入学して2ヶ月経った今でも一度も来ない。所謂不登校というものだろう。
(確か名前は、田名結人だったっけ?)
1ヶ月前、この人が気になって先生に出席簿を見せてもらった事がある。
何故学校に来ないかは聞けなかったけれど…
(同じ中学出身の人にも聞いたけど、中学からあまり来てなかったみたいだし…)
(って何で私がこんなに考えてるんだろ?)
考えても仕方ないと思い、授業の用意を始める。