ブルーベリーララバイ
第1章 通学時間の恋

1.恋のはじまり

窓の外を流れる景色を見ていたら、不意にすぐ後ろに人の気配を感じた。

「おっす!」

聞き慣れた声がした。振り返ると翔太だった。

「あ、おはよう。おひさ。あれ、いつもこの電車?」

久し振りに会う翔太は、高校生になったからだろうか、少し大人びてみえた。

「うん。向こうの車両にいたんだ。こっちみたらお前がいるからびーくり。お前、毎朝これに乗ってンの?」

「3日前からね。学校が始まるの遅かったんだ」

自己紹介が遅れた。あたしは、斉藤友梨亜。4月から晴れて女子高生となった。中学3年のときは、いじめでまともに学校にいけなかったから、これが久し振りの学校生活になる。環境が変わって、学校へも通えそうな予感。前よりもちょっと元気になった。

で、今私に話しかけているのが、幼なじみの翔太だ。家はうちから歩いて5分ぐらい。近所だがお隣さんという近所ではない。

翔太とは、小学校2年のとき同じクラスで、小学校時代はよく遊んだし、いろいろなことを話した。

でも、彼氏じゃない。

中学になってからは、男子も少し照れるようになるからなのか、翔太とはあまり話さなくなった。クラスも違ったし。

でも彼は、学校へ行かなくなった私を気遣ってくれて、電話をくれたり、学校の勉強を教えてくれたりした。

翔太は大切な友達だ。


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