ブルーベリーララバイ
「俺等は4月5日から始まったけど、おまえんとこの高校のんびりしてんな。」

ヤツは、あたしのことを「お前」と呼ぶ。

今時の男子にしては、アラっぽい呼び方だ。

一応、あたしには、友梨亜という名前があるんだけど。でも慣れているから特に気にならない。

「まあ、専門学校だからね。翔太君は学校慣れた?」

あたしは翔太を、いつも「翔太君」と呼ぶ。

ヤツがお前ってあたしを呼び捨てにするから、あたしも呼び捨てしてもいい相手なんだけど、彼氏じゃないし・・・。

「慣れたよ。今、俺、写真部入ったの。デジカメをさ、入学祝いにオヤジに買ってもらってさ。」

「翔太君らしいね。相変わらずパソコンオタク?」

「オタクじゃないよ」
といって翔太は笑った。

一瞬ドキっとした。

雰囲気がいつもの翔太と少し違う。
それに電車が揺れるたびにフワっと漂う、男子独特のにおい。

高校生になると男子もとたんに男っぽくなるのだろうか。

そうだ、翔太は少し、男っぽくなったんだ。そう思った途端、胸がドキっとした。

翔太は、父親がIT企業に勤めていて、家にはたくさんパソコンがあるらしい。そのうち1台を自由に使わせてもらっているので、翔太はパソコンのことをよく知ってる。

中学のとき、私は、ときどき翔太の部屋へ行って、オンラインゲームのやり方を教えてもらったり、インターネットを見せてもらったりした。

家では、両親はそれぞれのノートパソコンを持っているが、私が使えるパソコンはまだない。



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