ブルーベリーララバイ
朝、あたしはゆっくり寝るつもりが、楽しみが待っていただけに、早く目が覚めてしまった。

時計をみると朝の8時。

あ~、まだ4時間以上ある~・・。

いつもなら、「あと5分」と言ってもっと寝るのに。

今日は「あと5分」をしようと思っても、翔太と会うことを考えると寝られない。

パジャマのままキッチンへ行くと、すでに両親は起きていた。

「おはよう、早いのね。」とママ。

「おは!」とあたしは言って、冷蔵庫に手をかけて牛乳を取り出した。

あたしは牛乳、結構好き。

朝の一番は牛乳だ。

この前、駅で、牛乳を飲みましょうキャンペーンみたいなのをやっていて、牛模様の小さなハンカチをもらった。

おじさんやおばさんが、大きな声で、

”牛乳を飲んでください”、

と叫んでいたけど、なんでこんなおいしいものをみんな飲まないのだろうとあたしは不思議だ。

もしかしたら、この「ぎゅうにゅう」という語の響きがよくないんじゃないかしら?

いっそ、かわいらしく「ミルクゥー」とかの名前にしたらいいのに。

あたしら高校生は、”可愛い”って言って飲むかもしれない。

あたしはそんなことを考えながら、ママに午後から翔太のところへ行くことを伝えた。

「今日ね、お昼から翔太君とこ行ってくる。」

「あら、珍しいのね。翔太君は元気なの?」

ママもパパも翔太のことを知っている。最近電車であったことも、ママには話してある。

「あなたたちは、昔からいいお友達ね。今度翔太君もうちにつれていらっしゃいよ。」

とママは言った。

そうか、翔太をうちに連れてくるという手もあるか。

デートの口実ができる。

でももしそのとき、あたしと翔太がつきあっていたら、ママやパパは喜んでくれるだろうか?

いやそれよりも、もし翔太とそうなったら、彼氏だよ、ってママに紹介するのはすこし恥ずかしい。

いや、翔太が嫌がるんじゃないか。

そんなことが頭をよぎり、あたしはママに適当に返事をしておいた。

ちゃんと返事をするにしたって、とにかく今日、翔太と会ってみないとわからない。

もしかしたら、翔太と彼氏彼女になるタイミングがやってくるかもしれないし。



< 24 / 30 >

この作品をシェア

pagetop