ブルーベリーララバイ
そして、翔太が撮った写真を画面に表示した。

「すわりなよ」って翔太をあたしに椅子をすすめてくれた。

翔太はあたしのすぐ斜め後ろに立った。

画面には、1枚の夕日の写真が大きく映りだされていた。

「うわー、綺麗。ここどこ?」

「学校の近くの堤防から撮ったんだよ。」

翔太の学校はわりと海に近いところにあった。

川の河口付近にあるので、堤防から撮影されたその夕日は、どこか違う街のような雰囲気だった。

翔太は、画面をクリックして次々と写真を見せてくれた。

ほとんどが景色だ。そして、ときどき、花を接写した写真がある。

「翔太君、人が写真に映ってないね。」

「あ~、俺、景色撮るほうが好きなの。街の景色とか。」

「いいな~。写真おもしろそう。」

「友梨亜も携帯買っただろう?それでも十分に綺麗に撮れるよ?」

「こんなに?」とあたしは、そのとき画面に映っていた草花を接写した写真を指さしていった。

「うーん、テクニックがあればね。」

と翔太。

「難しそうじゃん。でも、今度教えて!」

とあたしは翔太に少し甘えてみせた。

二人でパソコンの前にいるので、翔太が画面に指を指すと顔のすぐ横に翔太の顔を近づく。

ドキドキした。

翔太の息づかいを感じる。

あたしの顔の横で翔太が話すと、ドキドキがさらに速くなった。

顔が紅くなるのを感じる。


・・・あ~、翔太。あたし、胸が苦しいよ。


・・・翔太が好き!


・・・こんなにも翔太が近くにいる・・・


・・・時間よ止まれ!

このまま時間が止まってくれればいいのに・・・。



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