ブルーベリーララバイ
でも、翔太がやるゲームにもあまり興味がないので、特に今は欲しいとは思えない。

それに学校でも「情報」の授業があって、勉強できるみたいだし。

「あ、お前携帯電話持ってる?メアドあれば教えてよ。」

そう、私が欲しいのは、パソコンではなく、携帯電話だ。

「まだ---」

「まだ持ってないの?高校生活に携帯は必須だぜ。バイトして買えよ。」

「うん、欲しいけどね、親がメールばかりする学生になってもらうのはいやだから、っていって渋ってる。」」

そんな話をしているうちに、「次の停車駅は~」と電車のアナウンスが入った。

「私、乗り換えだから降りるわ」

「おけー。んじゃまたな。しっかり勉強せいよ。」

「翔太君こそね。ばいばい。」

あたしは、翔太が乗る電車を背にして、乗り換えホームへ続く階段を降りた。

あたしの心がほわんと温かくなっていた。

久し振りに翔太に会えたことが嬉しかった。

高校になってからは初めて見た翔太は、少し見ないうちに、背が以前よりもグンと伸びていて、どことなく大人びた雰囲気になって、少し男を意識した。

急に胸がドキンドキンしてきた。

「やだ・・・。何これ?どうしたんだろう、あたし。。」

そのドキドキは、なぜか次の電車に乗ってもおさまらなかった。
翔太のことをフっと思うだけで、顔がかっと熱くなる。

あたしはそれをごまかそうと、カバンから文庫本の小説を取り出した。

途中読みの小説だけども、読んでも、頭には内容が残らない。
頭に浮かぶのは翔太のことばかりだ。

学校に着いても翔太のことは頭から消えなかった。

結局、その日1日中、私はおかしな気分だった。

でも、あたしの周りの景色はやたら明るかった。

授業もとても前向きな気持ちで受けたし。

友達とのおしゃべりもすごく楽しかったし。

「メアドかー」とあたしはつぶやいた。

翔太はいつも同じ電車に乗ると言っていた。

明日もまた会えるかな・・・。

そう考えると、気分がるんるんしてきた。




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