雨
「ここには音楽があって他の客の話し声が入ってこないし、落ち着くから良いんだよね。」
彼の言う通り、みんな同じ空間にいるにも関わらず、まるで個室に入っている様な落ち着きを感じる。
こちらを向いた彼が少し真面目な顔になった。
「ここまで仲良くなったんだし、蒸し返すようだけど、悩んでいること、良ければ聞くよ。それとも今更かな?」
突然で少し面食らった。楽しい時間を過ごした為か、あれほどの悩みも嘘のように忘れてしまっていたからだ。とは言え明日になれば私はまたウジウジ悩んでしまうのだろう。
結局、悩みを明かす事にした。詳細までは話さず概要を簡単に伝える。