雨
「ここまで重なると、もう仕事をやめろと言われている気がしてきます。向いてないのかもしれないですね。」
私が少し自嘲気味に笑うといいや、と彼は否定した。そして酒を一口飲んでから続ける。
「話を聞いている限り、君はこの仕事が好きなんじゃないかと思うんだけど。」
「たしかに、今の職業は好きです。実はもともとなりたくてついた職なんです。」
「実はもう、答えは決めてるんじゃないか?」
「えっ?」
「仕事続けたいのならそうすべきだよ。不運の重なりに悔しい思いをしただろうけど、君なら大丈夫だと思う。」
まさに見透かされたようだった。
たしかに辞める気など無かったのだから。