雨
ふと、疑問が浮かんだ。
名前もまともに教えてくれない彼は、私とまた会ってくれるのだろうか。
私が名付けた猫という名前は本当に的を得ていると思う。きっと彼は縛られることは無くて、私が少しでも"重さ"を見せたら、この手をすり抜けてどこかへ行ってしまいそうな感じがする。
連絡先くらいは聞いても良いのだろうか。
もう夜と呼ばれる時間帯を抜け、朝。日が昇るまでもう幾許もないだろう。つまり、それだけ今この時の終わりが近づいているのだ。
手許のグラスを一気に飲み干す。
ああ、いけない。このお酒は強いのだった。
飲み干した後に後悔した。そして時間を開けずに一気に酔いが回り、天井が回るように見える。