雨
私はすぐ彼の呼び名を考えた。
こうして見てみると彼は美形とは違うが、男前で背が高い。その割に少し童顔で、奥二重の薄い顔に黒髪がよく似合っていた。
「そんな見られると少し照れますね。」
なんて言いながらくすくす笑う彼を見て、ふと浮かんだ。
「猫だわ。まるで猫。」
「猫ですか。」
「その掴み所のない空気感、自由な猫のようだもの。」
彼はそうかなあなんて言いながらお酒を飲み干して、言った。
「そういう君はなんて言うの?」
もちろん、答えはこうだ。
「どうぞお好きなように。」
彼の真似をして微笑んだ。