赤い刻印 - Secret Love -
先生は私の顔を見るなり持っていたコンビニの袋を床に落とした。
無理もない。
いきなり生徒が家にいたら誰だって驚くだろう。

「先生!おかえりなさーい」

気まずすぎるからとりあえず明るい口調でそう挨拶をしてみた。
だけど先生は笑顔ひとつ見せずにジッと私のほうを見下ろしている。

「おかえりじゃないだろ。何やってるんだ?」

あからさまに不機嫌そうな先生。
ただでさえ仏頂面の先生なのに、不機嫌ともなれば2割増しで無愛想だ。
はっきり言ってかなり怖い。

「ごめんなさい。あの~」
「こら明仁!私が無理を言って上がってもらったの」

おばあちゃんのその一言にホッと胸を撫で下ろす。
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