赤い刻印 - Secret Love -
「は?どこも見てない」

絶対に見てた。
瞳を開けた瞬間に確認してしまったもの。
先生が思いっきりやらしい目で私の鎖骨あたりを見つめてたこと。

「先生。もしかしてまたその気になった?」
「バ、バカ言うな」

子どもみたいな先生の反応に私は思わず微笑んだ。

「ここね、あれ以来余計に目立つの」

自分の鎖骨あたりにあるあのアザを右手で隠す。

「先生のせいだからね」
「…っ、あれはもう消えただろ?」

そう。先生のキスマークはもうとっくに色あせた。
これは火傷の跡でしかない。

でもね
あの日からこのアザは意味を変えたの。
過去の苦しい傷跡じゃなく、先生が残した赤い刻印にー。
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