赤い刻印 - Secret Love -
「いじわる…」

私はそう言って先生のほうをキッと睨む。

「今日は絵梨に頼まれてきただけだもん。そしたらおばあちゃんが~~っ」
「分かったよ。ごめんって!」

先生の慌てふためく様子が少しだけ可笑しくて、目を押さえた指の間からチラッと見つめてみる。
先生も所詮は男、女の涙に弱いらしい。
別に困らせようとしてワザと泣いたわけではないけれど。

「ばあちゃん、やけに矢沢気に入ってるもんな」
「うん」
「矢沢が家の前通る度に呼び止めそうだ」
「はは」
「でもな、矢沢。もうこれ以上俺に関わるのは矢沢にとって良くないと思う」
「…」

分かってるよ、先生。
私たちはあくまでも生徒と先生。
しかも私はまだ未成年だ。
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