赤い刻印 - Secret Love -
まさか母親に見られていたなんて思いもしなかった。

「あー!そこでたまたま会って送ってもらっただけだよ」
「ご飯、どこで食べてきたの?」
「友達とだけど」
「嘘でしょ?」
「…」

母親は私の嘘なんてお見通しみたいだ。
そりゃあ一応母親だし。
私が昔から嘘をつくのが下手だったこと、十分に分かっていると思う。

「やめときなさいよ。先生となんて」
「だからそんなんじゃないって。先生のおばあちゃんと仲が良くて家にお邪魔してただけ」
「やっぱり家にいたのね」

母親は少し呆れたようにため息をついた。

「今何時だと思ってるの?本当に村田先生は何を考えてるのよ…」
「…」
「今どき珍しいくらい真面目でいい先生だと思ってたのに」
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