赤い刻印 - Secret Love -

とっさに嘘をついた。
まさか相手が村田先生だなんて言えるはずもなく。

「まあ親子って難しいよね。親がいつも正しいとは限らないわけだし」
「そう！そうなの、麻美」
「うちの親もさー」


麻美と散々盛り上がった後、トイレに行くために教室を出ると村田先生の姿があった。
何だか気まずい。

「随分荒れてんな」
「え？」
「お前と近藤の雄たけびが廊下まで聞こえてきたぞ」
「…すみません」

"もうこれ以上俺に関わるのは矢沢にとって良くないと思う"
ふいに先生の言葉がフラッシュバックしてきて胸がぎゅっと締め付けられた。

「久しぶりに親と喧嘩しちゃって」
「お母さんと？」
「うん。結構大人げないことを言った気がする」