赤い刻印 - Secret Love -
おばあちゃんの視線が私を通り越して他の誰かを見ていることに気づいて、私は慌てて後ろを振り返った。
するとそこにはスーツ姿の村田先生が立っていて。
少し距離があるから今の言葉は聞こえてないと思うけど…。



「来たわけじゃないから」

結局、おばあちゃんが半ば強引な感じで家に招き入れてくれた。
私からすればある程度予想通りの展開。
おばあちゃんには申し訳ないけど。

「先生に会いに来たわけじゃない。おばあちゃんにお惣菜を…」
「聞いたよ」
「すぐ帰るから」

この間"もう来るな"って言われたから絶対に怒られる。
そう思っていたのに、先生から出た言葉は予想外だった。

「いいよ。矢沢は飯食べたの?」
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