赤い刻印 - Secret Love -
「いいから。分かった?」
「先生、電話切れちゃうよ」
「あ、そうだった。矢沢も下降りて来いよ」

この焦りよう、テスト問題に違いない。
先生が出て行ったのを確認して私はゆっくりと机に近づいた。
積み上げられた書類を丁寧にどかしていく。

そこにあったのはやっぱりテスト問題だった。
先生が戻ってくるまでの数分でこれを1枚くらい持ち出したり、スマホで撮影しちゃうのは簡単なこと。

だけど…
私は掴んだテスト用紙をギュッと握り締める。


「無理だよ…」

私にはできない。
いくら先生との秘密を守る為だってこんなことはできないよー…。
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