赤い刻印 - Secret Love -
好き、でも…


「どうしたんだ?急に帰るなんて言い出して」

あの後すぐに先生の部屋を出た。
そしてちょうど電話を切ったところだった先生に "もう帰る" と伝えて荷物をまとめた。
大丈夫だと言ってるのに、先生は律儀にもまたこうして私を家まで送ってくれている。

「だっておばあちゃん寝ちゃうし。先生も忙しそうだから」
「今日は随分謙虚だなー。また寝たフリでもするかと思った」
「先生、もしかして帰ってほしくなかった?」
「何でそうなる」

少し焦ったような素振りで反対側を向いてしまった先生。
私はその表情を見てニコッと笑った。

「本当は帰りたくなかったけどね」
「え?」
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