赤い刻印 - Secret Love -
「もちろんあの日のことだって忘れる…っ」


私たちはやっぱり"教師と生徒"なんだ。
これ以上近づいたら先生は先生じゃいられなくなる。
…そんなの嫌だ。


「あ、そうだ!おばあちゃんに気を遣わせちゃダメだよ」

私はそう言ってベーッと舌を出した。

「煮物美味しいって、おばあちゃん気を遣ってくれただけだからね?火加減もちゃんとレシピ通りに調整して」
「矢沢…」
「私はもう先生の家に行くことはないから。おばあちゃんにもよろしくね!」
「…」
「バイバイ。" 村田先生 " 」


1度きりの過ちならまだ戻れる。
私は先生とは釣り合わないし、先生の未来を奪うようなことはしたくない。
今ならまだ間に合うからー。


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