赤い刻印 - Secret Love -
***
「香川、ちょっといい?」
放課後、人気のない校舎の裏側に香川を連れてきた。
何も言わずに私の後を付いてきた香川。
もちろんその用件は "あのこと" だと分かっているはずだ。
「テスト問題入手できたの?」
最初に口を開いたのは香川のほうだった。
「そのことだけど」
「うん?」
「やっぱり私にはできないから」
香川の目をしっかりと見つめてそう伝える。
「チャンスなかった?」
「ううん。やろうと思えばできなくはなかった」
「何それ」
「でも私にはどうしてもできなかった。先生を裏切るようなこと」
「ふーん。あのことバラされてもいいの?」