赤い刻印 - Secret Love -


「…矢沢」

課題を提出して帰ろうと思った瞬間、先生に呼び止び止められて固まってしまう。

「な、何ですかっ?」

急に呼ばれたことに動揺しすぎて思わず声が裏返った。

「何で急に敬語なんだ」
「生徒が先生に敬語使っちゃ悪いですか?」

私は口を尖らせて先生のほうを見上げた。
先生はその表情を見て呆れたように笑う。
周囲を見渡すと他の生徒はもう課題を終えて帰ってしまったようで、化学室には私と村田先生しかいない。

「どうした?矢沢がこんな点取るなんて」
「ちょっと…」
「それとここ数日、俺のこと避けてるだろ?」
「避けてない」
「避けてる。目も合わさないし呼んでも分かりやすく無視するし」
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