赤い刻印 - Secret Love -
有子その言葉に一瞬だけ教室の中が静まり返った。
村田先生が辞めるってどういうこと…?


『それマジなの?』
『うそ!ショックなんだけど』

今度は教室の中が一気に騒がしくなった。
クラスメイトたちの冷たい視線を痛いほどに感じる。

『その相手にはおとがめなしってこと?』
『それおかしいよね~』


そんな会話が聞こえてギュッと瞳を閉じた。
…そうだよ、オカシイ。
何で先生だけが辞めなくちゃいけないの?


「一沙、気にすることないから」

文幸が心配そうに私の顔を覗き込む。

「一沙?」
「私行ってくる」
「ちょっ…!一沙待てよ」

文幸の制止を振り切って教室を飛び出した。
そして先生の姿を探す。
職員室、校長室、廊下。
< 189 / 238 >

この作品をシェア

pagetop