赤い刻印 - Secret Love -
だけど先生はどこにもいなかった。
そして最後に辿り着いたのはやっぱりここ。
私たちの全てが始まった場所、化学室ー。


「先生っ」

私の呼びかけにゆっくりと振り返った先生。
いつものようにクールな白衣姿。
そして手元には実験器具がある。

「おお。どうした?」
「どうしたって…」

先生の姿を見て一気に力が抜けてそのまま床に座り込んでしまった。
まさかこんな状況の中でいつも通り淡々と実験しているなんて。
しかもあっけらかんと『どうした?』だなんて。

「先生…。ちゃんと校長先生に説明したの?」
「ああ」
「どんな風に説明したのよ!先生が辞めさせられるって噂になってる」
「辞めさせられたっーか…」
「?」
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