赤い刻印 - Secret Love -
見つめ合うような格好になってしまった私たち。
落ち着いていた鼓動がまたドクドクと高鳴り始めた。

「な、に…?」
「俺、あの日のことをずっと後悔してる」
「…」
「でもあの時は止められなかったんだ」

先生は少し照れたように、だけど真剣な瞳で私のほうを見つめている。

「決して欲の為じゃない。矢沢だからだよ」
「…」
「ずっと気になってたんだ」
「え?」
「いつもクラスの中心で賑やかに騒いでるけど、なぜか顔は笑ってなくてさ」
「…」
「どこか重いものを抱えてるようなお前を気がつけばいつも目で追ってた。俺が救ってやりたいって思った」
「先生…」
「その気持ちが何なのか自分でもよく分かんなかった。でも、あの日を境に気づいたんだ」
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