赤い刻印 - Secret Love -
もう1つの顔
「一沙。今からカラオケ行くんだけど一沙はどうする?」
5時限目の終わりを告げるチャイムと同時に、麻美が私の席へとやって来た。
麻美の後ろにはいつも一緒に行動している"仲良しグループ"の数人もいる。
「ごめん!今日は先約あるんだ。また今度誘って」
「えー、残念。じゃあまた今度ね」
「ごめんね。バイバイ」
私はとっさに嘘をついてしまった。
少しの罪悪感を感じながらみんなに手を振る。
何でだろう?
あれ以来、麻美たちといる時間が億劫になってきてる。
先生が変なこと言うから…。
「一沙?」
ボーッと帰り道を歩いていた私。
背後から名前を呼ばれたような気がしてゆっくりと振り返った。
「一沙だろ?俺だよ俺!」