赤い刻印 - Secret Love -

「でも、俺はお前を忘れるから」

その言葉にゆっくりと顔を上げる。
何で…？

「それが1番いいと思うんだ。矢沢はまだ高校生だしたくさんの可能性がある」

この期に及んでまだそんな教師っぽいこと言うんだ…。

「この先、色んな人と出会って色んな経験をして。だから…」
「…」
「だから俺のことは忘れてくれ。もちろんあの日のことも」

先生は私に言い聞かせるようにそう言った。
さっきまで感じていた腕の温もりが急速に消えていく。
先生が、遠いー。


「ごめんな、矢沢」


それが先生の出した答えなの？
正直な気持ちなの？
せっかくお互いの気持ちが通じ合ったのに、その直後に忘れろだなんて。
そんなの酷過ぎるよー。